拒まれた情熱のゆくえ
ニタは人生最大の危機に陥っていた。
父とともに経営する牧場がさまざまないやがらせや脅迫を受け、ついには父までが怪我を負わされたのだ。
トラブルの噂はすでに町中に広まり、信用を失った牧場は経営難に陥ってしまった。
もう私一人の手には負えない。
彼女は(テキサス・キャトルマンズ・クラブ)に牧場の監視を依頼し、コナーという男性がニタの家に住み込むことになった。
男らしくて屈強なコナーは、何かとニタの力になってくれ、牧場の仕事まで手伝ってくれるようになる。
お金を払うことはできないけれど、彼に感謝の気持ちを表したい。
そう決心し、ある夜ニタはコナーの寝室に向かった。
目の前にいる男性の姿を、ケイトは息をつめて見つめた。
夫だったトレント―― 私が生涯で愛したただ一人の男性だ。
だが十二年前、生後二カ月の一人娘が誘拐されたとき、悲しみの淵に沈む私を彼は慰めてもくれなかった。
あろうことか、事件が起こったのは私のせいだとさえ言って……。
ケイトはその後、独自に調査を続け、事件解決の糸口を得る。
それを伝えようと、離婚以来初めてトレントのもとを訪れた彼女に、トレントは冷酷な表情で言い放った。
「もう、すべて終わったことだ」ケイトは言葉を失い、その場に立ち尽くした。
頭のなかによみがえる、トレントとの甘い記憶にさいなまれながら。
今日こそはクーパーに仕事を辞めたいと言わなければ。
カーラは強い決意を抱いて雇い主のもとに向かった。
五年前からカーラは作家クーパーの個人秘書を勤めている。
一年前に、彼を愛してしまったことに気づいたが、問題はクーパーにはその気はまったくないこと―― 決して、カーラを女性としては見てくれないことなのだ。
ボスへの片思いなんてみじめすぎる。
一刻も早く、彼から離れなければ。
だがカーラは知るよしもなかった。
本当はクーパーが、彼女を誘惑しようと計画していることなど。
プルーデンスがニコロスと結婚して八年の月日がたった。
彼はギリシアでも有数の大企業の最高経営責任者だが、八年前は違った。
倒れかけた会社を救うため大富豪の相続人プルーデンスと仕方なく結ばれたのだ。
しかも本当の夫婦になったことはなく、彼には複数の愛人がいる。
プルーデンスはそんな関係がいやになり、離婚を切り出した。
ところがニコロスの答えは予想外のものだった。
彼は形式だけの結婚を本物にしたいと言い出したのだ。
君が妊娠を望むなら子どもの父親になってもいい、と。
今さらどうして? 当然、プルーデンスは拒絶した。
ミリー・リーはウェールズのいなか町で行方知れずの双子の姉ジリーの帰りを待っていた。
ミリーと正反対の派手好きでチャーミングなジリーは、母とミリーに借金を残してイタリアに行ってしまった。
その後母が亡くなったのに、それを知らせることもできない。
姉を捜す経済的余裕もないミリーのもとにある夜、美貌のイタリア人男性が訪ねてきた。
彼は一緒にイタリアに来て、盗んだ金を返すようにと命じた。
「姿を変えていてもごまかされない。
きみには償いをしてもらう」どうしよう、わたしをジリーだと勘違いしているんだわ!続きはこちらから⇒ttp://www.ebookjapan.jp/shop/book.asp?sku=60017054